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毒舌家

 投稿者:編集部  投稿日:2014年12月 9日(火)12時08分39秒
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                毒舌家 




 佐賀でよく行く店に"くーぷらん"がある。
 同窓の原田勝美君がやっている店で、奥さんの広子ママのボーカル(ジャズ、シャンソン)
を中心に勝美さん(ピアノ)、息子さん(ピアノとトランペット)、そのお嫁さん(バイオリン)
が演奏を行なうライブ付きのハイセンスなバーである。
 その店で、広子ママは私のことを毒舌家の牟田さんと呼ぶ。本音を言っているだけだと反論
はするのだが。どのような話をしているかというと―。
 世間では、「綺麗なバラにはトゲがある」とか「顔じゃないよ心だよ」といったブス擁護論
が横行している。中には本気でそう思っている人もいるらしい。しかしそれは間違っている。
大ウソである。一寸考えればわかることだが、小さい時から可愛い可愛いと言われて育った子
とそうでない子とがいて、成長した時、どちらが素直で心掛けのいい娘になるか、どちらがひ
ねくれて根性の悪い娘になるか。答えは明々自々であろう。では、どうしてブス擁護論がはび
こるのか、その答えも簡単で、ブスの数の方が圧倒的に多いからである、もちろんブス擁護論
がすべて間違いというわけではない。「美人は飽きる。ブスは
慣れる」これはある意味では正しい-。こういった話を酔いにまかせて大声でしゃべるものだ
から、回りの女性は当然引く。毒舌家はTPOが肝心である。その点、くーぷらんは気が楽で
ママなど、また牟田さんの毒舌が始まったと言いながら結構面白がって聞いてくれている、よ
うだ。

 さて、このところ毒舌の鉾先は時節柄、官僚・役人批判と教育問題に向くケースが多い。
年金に対する社保庁のずさんな対応、ワタリといわれる天下り、独法十二兆円の無駄遣い、裏
金づくりに居洒屋タクシーと、官僚制度の実態が暴露されるたび、あきれ驚き、腹わたの煮え
くり返るような怒りを覚える昨今である。そのような時決まって、あまり官僚を攻撃すると優
秀な人材が集まらない、なんて言う役人上がりの政治家がいる。情けないことにそれに対して
反論をするコメンテータや記者がいない。どうして「優秀な人材がいて、国が八百兆も千兆も
借金するか」と言い返さないのだろう。
 さらに、戦後日本の復興、経済的発展をリードしてきたのは官僚だと主張する人もいるが、
これも間違い。
 私が勤めていた川崎製鉄(現JFE)の初代社長、西山弥太郎はテレビドラマにもなった
「華麗なる一族」(山崎豊子)の主人公のモデルだと言われている。(註:反対を押し切って
高炉建設に邁進したという意味で)
 当時、八幡、富士等、旧官営の会社に独占されていた銑鉄(高炉で生産する)の確保のため
高炉建設を計画したが、業界はもちろん役所や銀行も大反対。時の一万田(いちまだ)・日銀
総裁が、「(もし建設を強行するなら)製鉄所の屋根にぺんぺん草を生やしてみせる」と言っ
たのは有名な話である。
 結局、川鉄が高炉を持てたのは世界銀行の借款に成功したお蔭であるが、その後、住金や神
鋼が相次いで高炉メーカーに参人、やがて日本製鉄業は世界でトップの位置を占めることにな
る。鉄鋼と並び、戦後日本の経済発展を牽引した自動車・家電産業も、本田宗一郎、松下幸
之助、ソニーの井深、盛田等、民間の企業家の先見性とバイタリティに溢れたリーダーシップ
により発展したもので、官僚の力では断じてない。彼ら(官僚)がやってきたのは得意とする
規制で、起業家の足を引っ張るかたわら、乏しい財政の貴重な資金をせっせと石炭産業に注入
していたのである。
 役人たちの先見性のなさと頑迷さ、とくに状況の変化を考慮に入れずひたすら当初の計画通
りに実行しようとする執念には正直言って驚かされる。身近なところでは諫早の開拓も、そも
そもは農地開発のためであり、一方で減反政策を採りながらの事業推進は時代錯誤と言われて
も仕方があるまい。その他、ダム、空港、道路、新幹線と、枚挙にいとまがないが、このエネ
ルギーはどこから生まれるのか。不思議である。恐らく、事業を織り込んで作った人事計画を
守ることにより、天下り先を含むポストを維持、確保するためと考えるが、確証がないのでこ
れで擱(お)く。

 次に大分県で起きた教員汚職事件はどうやら一県だけの問題として幕引きがなされそうであ
るが、それを信じている国民は少ないだろう。全国のあらゆる都道府県で同じことが行なわれ
ていると"確信"しているのではないか。
 問題は教師の採用がブラックボックス化していること。即ち、採用試験にどんな問題が出さ
れ、どんな基準で合否が決まるのかが一般にはよく見えない。大分県の○六年、○七年の合格
者のなんと半数、計四十名が不正によるもので、それを被告の参事とその上司の二、三人で決
めていたという事実、それも恐らく長い間続けられていたのに表面化しなかったこと、この閉
鎖性は驚くべきものがある。
 この閉鎖性の原因は教員の世襲化にあると思う。マスコミや第三者機関で正確に調べてほし
いのだが、小中学校の教師のうち近親者に教師を持った家庭の出身者がどれくらいいるのか、
私は半数は下らないと思う
政治家、医者、経営者から芸能人まで世襲化はあらゆる分野に広がり、社会全体に閉塞感が満
ちている今日であるが、少なくとも彼らには選挙、成績、人気といった歯止めがある。教師は
ようやく免許更新制が言われるようになったが、本来、不適格、不適正の教師を排除するシス
テムがない。しかし実害は大きい。一人の不適格な教師が四十人の生徒を受け持ち、一年ごと
に担当を変えて三十年勤めると、被害は一千二百名に及ぶことになる。
 解決策はただ一つ。親が教師の人は教師に採用しないという条例を出すことである。劇的に
あらゆるものが変化すると思う。即ち、教師自身による耳を疑うような不祥事をはじめ、イジ
メを含む子供達の非行、学力の低下等々の改善が。大阪府の橋下知事なら検討してくれるかも
しれない。
 職業選択の自由はどうなるんだという反綸はあろう。しかし、部外者の参入を業界挙げて妨
害し、世襲化を進め、職業選択の自由を奪ったのは教育界そのものではないか。

 最後に、私の一番嫌いな歌詞はSMAPの歌う『世界に一つだけの花』である。 その点、
イチローはエライ。「オンリーワンでいいなんて甘えたことを言っちゃダメ。ナンバーワンを
目指さなきゃ」と。流石である。第一回WBCの時の発言といい、イチローは毒舌家の鑑(かがみ)
である。
                               (平成二十一年二月記)
斜光14号 2009年

          
                 (α編集部)


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