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悠掲 迫らぬトップ振り

 投稿者:編集部  投稿日:2016年 8月17日(水)22時30分6秒
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     悠掲 迫らぬトップ振り  




 博多座の5月公演・朝夏まなと率いる宙組による『王家に捧ぐ歌』。私は6月22日、朝
夏のお茶会と併せて観劇した。
 正直言って、今回の公演はあまり乗り気ではなかった。1年前、朝夏の大劇場お披露目
公演の同作品があまりに素晴らしかったからである、当時の会報にも書いたが、ここ10
年余で1、2を争う傑作だったと思う。物語り性あふれた筋立て、歯切れのいい演出、歌
も装置も良かったが、何よりも主役のラダメスを演じた朝夏が見事だった。トップになる
と人間こうも変わるの力――歌や芝居のレベルアップもさることながら、感心したのは、
その悠揚として迫らぬトップ振りである。もう何年もトップを張っていたかのような。
 その作品を、生演奏・大階段・銀橋という宝塚の誇る三種の神器の何も持たない博多座
で、しかも、2番手スターという言い方もはばかれる人気と実力の持ち主・真風涼帆と美
人度で言えば現役娘役ナンバー1の伶美うららを欠く上に、大劇場公演でのほぼ半数・38
人で演るとは――私の気持もわかってもらえると思う。

 ところが、幕が上がると共に、それまでの懸念や不安は消え去り、どんどん芝居に引き
込まれて行く。脚本を多少変えているのか、前回よりスムーズに感情移入がで、ラストの
地下牢のシーンで、アイーダを発見するくだりなど、涙をこらえるのがやっとであった。
この理由は何か――配役で言えば、真風の抜けた穴はやはり大きい。桜木みなとも健闘し
たが、真風の迫力、存在感には及ばない。一方、美人ではあるが。歌に難点のある伶美に
代わり、アムネリスを演っだ彩花まりは索晴らしかった。こうした大役は初めてだったと
思うが、歌も芝居も堂々としており、朝夏とアイーダ・実咲凛音との三人主役を見事に成
立させていた。本公演の成功のかなりの部分が彩花まりの力によると言っても過言ではな
い。実は本公演で初めて名前を覚えたわけだが、このあたり人材豊富というか、育成が上
手というか、宝塚の凄さだと思う。

 さて配役ではプラス・マイナス・ゼロ。三種の神器や人数のハンデを凌駕したのは一体?
――答えは朝夏白身がお茶会で説明してくれた。この1年間の自分を含めた宙組メンバー
の成長と進化であると。流石である。的確な分析力と表現力。彼女の聡明さがうかがえる
と同時に組子の成長と組の発展を願うトップの自覚を強く感じさせるコメントであった。
 ところで、朝夏や彩花の成長を考える時、宝塚方式、即ち、トップスターを頂点とした
徹底した実力主義と競争システム――現代日本の教育システム、 例えば、横並び主義や
“ゆとり教育”とは真逆の感じがするが、いかがだろう。SMAPの『世界に一つだけの
花』と違って、彼女たちはナンバーワンを目指して頑張り、成長しているのだ。
   ( 完 )

(「佐賀さくら会」会報2016.7月号掲載)


      
                     (α編集部)

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