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華の花組 『雪華抄』『金色の砂漠』

 投稿者:編集部  投稿日:2017年 1月11日(水)16時08分16秒
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     華の花組『雪華抄』『金色の砂漠』



 11月の大劇場花組公演は、受賞者が3人も揃う大変豪華な舞台となった。即ち、各々
の演出を手掛けた原田諒、上田久美子の両氏は読売演劇大賞・優秀演出家賞の受賞者であ
り、[明日海りお]は『新源氏物語』で文化庁芸術祭賞・演劇部門新人賞に輝いている。

 まず、宝塚舞踊詩『雪華抄』。演出の原田氏は日本物レビューについて、日本舞踊を洋
楽で踊るという宝塚歌劇独特のスタイルを高く評価し、その伝統を守り継いでいかねばと
話されている。同感である。思えば昭和40年代初め、『日本の四季』、『日本の幻想』、
『京の川』等 日本物レビューの秀作が相次いで上演された。上月晃の民謡のうまさと共に
忘れ難い。その伝統を引き継ぐようなオーソドックスな演出で、思わず息を飲むチョンパ
から若衆と娘らの総踊りへと続く幕開きに始まり、日本の四季にそって華麗に繰り広げら
れる舞踏絵巻は時間の経つのを忘れさせる。又、きらびやかな中に渋さを感じさせる美術
や衣装を含め、氏の演出の特長である品の良さが随所に見られるが、上品すぎて、例えば
安珍と清姫の場面など、もっとおどろしさがあっても、と思うのはオールドファンだけの
感想か。

 『金色の砂漠』は、強烈な情念がほとばしる骨太のドラマ。傑作である。作・演出の上
田氏は明日海、花乃まりあについて、「サロメ」や「嵐が丘」のような狂気の恋物語が似
合う気がする、と創作の意図を語っている。あと一つ「ハムレット」も加えていいと思う
が、いずれにせよ、主役コンビのキャパを第一義に考える姿勢が作品にリアリティを与え、
観客を魅了したのだと思う。

 狂気の恋には純粋さが必要である。そもそも宝塚の特色は、清く正しく美しくと言われ
るように、際立った純粋性・潔癖性・倫理性にあると考えるが、それを最も強く感じさせ
るのが明日海である。この作品でも純粋さ故に、もたらすトラジェディ(悲劇)を熱く演
じて感動させた。花乃も最後を飾るにふさわしい作品に恵まれ好演したが、いかにも惜し
い退団である。美貌に加え、大人のおんな的な雰囲気があり、何処か子供っぽさを残す明
日海との相性も良く、残念で堪らない。芹香斗亜はナンバー2の風格が身に付き、柚香光、
鳳月杏は各々難しい役をこなし、演技の幅を広げたようだ。それにしても今の花組は、き
れいな男役が揃い、正に旬という感じ。最後に、フィナーレでの黒エンビのダンスシーン。
KAZUMI-B〇Y氏の振付けは相変わらずカッコイイ。

(『歌劇』の高声低声欄 2017.新年号掲載)

               雪華抄
         

   金色の砂漠
 ともに、2016.11 大劇場華組公演より 

注:【チョンパ】
日本物の幕開きに使われる手法。
暗い舞台で拍子木の音を合図に、いっせいに照明が点灯すると、出演者が舞台に勢ぞろい
していて華やかな幕開きとなる。
拍子木の音が「チョン」となり、照明が「パッ」とつく=「チョンパ」
(タカラヅカニュースより)


※タイトル、注釈及び画像は編集部による

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