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「さが・さくら会」会報 2015年寄稿文集 前半

 投稿者:編集部  投稿日:2018年 1月16日(火)12時07分57秒
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  「さが・さくら会」会報 2015年寄稿文集 前半


今、そこにある危機 1月号
 12月6日、福岡市民会館にて星組公演『風と共に去りぬ』を観たが、率直に言ってが
っかりを通り越し、一種、危機感すら覚えた。会場のせいもある。今回は座席が後ろで舞
台より高い位置で観たため、余計に奥行きの無さ、幅の狭さが目立った。幕開きのアトラ
ンタの駅頭のシーンなど、広がりが全くなく、これから始まる大作への期待感もそがれた。
布製の書割に描かれた市街地が風に揺れているのを見たらファンといえども幻滅する。地
方公演に対する歌劇団の姿勢を改めて問いたい。
 会場だけでなく、陣容も問題。柚希、夢咲だけでなく十輝、真風らも抜けた33名で大
作『風と…』を演るのは無理があると思う。スカーレット=礼、アシュレイ=華形、メフ
ニー=音波では、彼女たちのせいではないが、いわゆる役不足の反対と言わざるを得ない。
ちょうど1年前の凰稀・宙組による大劇場公演『風と…』と比較してほしい。地方公演と
はいえ、と言うより、地方こそ、初めて宝塚を観る人も多いはず。猛省を促したい。
 さて、今回の福岡公演で痛感させられた役不足の反対、言い換えれば人材不足が宝塚全
体に及んでいること。これが、今そこにある最大の危機である。100周年記念行事の前後
に退団、あるいは退団発表したトップー蘭寿・壮・柚希・凰稀が揃って実力派であり、穴
埋めが大変なこと。それ以上に中堅一かっていた彩吹真央クラスの人材がほとんど育って
いないこと。本会報で久富君が指摘していたように、-組単独で芝居が成立しうるかどう
かの段階にあると思う。直ちに解決なんて対策はないが、昔は結構あった合同公演で時を
稼ぎながら、体制を改革していくしかないと思う。その際、ポイントは今の行き過ぎたト
ップ重視の傾向を改めることだと考える。
 余談だが『風と…』の脚本について。映画にあったバトラーとスカーレットの愛娘の落
馬による死をなぜ省いたのか。スカーレットとの別れの理由が、彼女の浮気の噂だけでは
いかにも女々しい。2人の結婚生活が娘をはさんで幸せな時期もあったと表わすことで、
別れのインパクトがより強くなると思う。時間の制約が理由なら売春婦の女主人の話は全
面カットでもいいのでは…。(完)





又々、こいつは春から…  2月号
 今年1月2日、慣例となっている大劇場初詣を行なった。朝9時から当日券を求めて並
んだが、座席数50余に対し、順番は90前後。運を信じ、キャンセル待ちに賭けた所、100列
の42、43をゲット。昨年に引き続き、こいつは春から縁起がいいわいと――。
 さて『ルパン三世』の方から。流石は宝塚の座付作者である。早霧せいなの、美形だが
いかにも勝気そうで、少年のような、いたずらっぽさを残した顔、小柄だが、バネのある
しなやかな身体付きがルパンにぴったりなのである。トレードマークの赤いジャケットで
登場したとたん、大拍手であった。又、ベルバラと違い、ギャグ性の高いルパンの場合、
よりカリカチュアされた演技が要求されるが、早霧は見事に対応していた。そして、彼女
以上にコミカルなキャラクター(銭形警部)を演じたのが、我らの夢乃聖夏である。よくぞ
ここまで、と感心する位の役作り。宝塚スターの枠を超えた名演技で、これで退団は、い
かにも惜しい。それにひきかえ彩凪=五右衛門、彩風=次元は、理解力不足というか、役
をこなし切れていないように思う。後のショーでも感じたが、この彩・彩コンビは期待の
割に伸び悩みで、まとめて月城かなとに抜かれるかも。峰不二子役の大胡は、今の宝塚で
は最適と考えるが、期待が大き過ぎたせいか、肝心のセクシー度がもうひとつ。男性ファ
ンを悩殺とまではいかなかった。
 全体の評として、ルパン三世達がフランス革命時のパリにタイムスリップするという着
想が良く、又、適役にも恵まれ、成功作と言えよう。ただ、タイムスリップの仕掛けがち
ゃちというか、わかりにくいこと。アントワネット役の咲妃が予想通りではあるが、いか
にも若過ぎ。脚本の方も問題で、子供もいる30代の女性にふさわしい大人の恋を描くべ
きなのに、どこか「ローマの休日」風一等の不満は残る。
 ショ-『ファンシー・ガイ』は熱気がすごい。新トップ、早霧の力である。これまでも、
壮一帆、凰稀かなめのときに強く感じたが、トップになると人は変わる。本当に顔まで変
わるのである。早霧もそう。組を引張る、組子を気遣う、いい顔になりつつある。それを
感じ、組全体が盛りあがる――。ショー自体も「Time to say Good byeをはじめ聞き慣
れた曲が多く、振付もオープニングをはじめ斬新で楽しい。ベテラン三木章雄の面目躍如
といった所。ただ。パバロッチィだと思うが、オペラのアリアが突然流れたのには驚いた。
観劇後知ったことだが、20年前のショー『ファンシー・タッチ』でも同じ曲で安寿ミラが
踊ったとか。安寿が振付師として参加しているショーで、早霧が踊るという宝塚の歴史を
感じさせる演出だった。

  



オリジナルのよさ 5月号
 3月15日`宝塚大劇場’花組公演の初日を観劇した。チケットは更紗那知さんに手配
していただいた。まず、『カリスタの海に抱かれて』-『セカンドバージン』などテレビ
ドラマの脚本家として有名な大石静のオリジナル作品である。ここ数年、再演物や映画・
コミック等の舞台化が多く、オリジナル作品は意外と少ない。久し振りに、先の展開を読
むワクワク感を楽しんだ。かっての『霧深きエルベのほとり』や『ラ・グラナダ』等の名
作を観ていた時のような。本作でも、ドンデン返しとまではいかないが、敵味方が攻守と
ころを変える最後の展開など面白かった。
 さて、本公演は花組トップコンビ、明日海りお、花乃まりあのお披露目公演であるが、
成功と言っていい。明日海については問題ない。歌、芝居とも実力通り。一方花乃が予想
以上の出来映えで、華もある。とくに勝ち気な役、流行言葉で言えば“男前な”女が似合
いそう。どこか子供っぽさを残した明日海との相性いいと思う。明日海については兼々、
宝塚スターとして一番の資質である純粋性を強く持つ男役だと考えていた。話は飛ぶが、
フジテレビ系列で八千草薫と真矢ミキの対談中、「宝塚とは?」の質問に八千草が「少女
ということかしら」と答えていたが、まさに同感である。オリジナル(原型)として最も
宝塚らしいスターである明日海が順調なスタートを切ったのは、まさに御同慶の至りであ
る。
 次に『宝塚幻想曲』は元気にあふれた楽しいショーであった。特にダンスがいい。この
作品に限らず、最近、宝塚の振付は好調。ANJUなど新しい力の参入のせいだと思うが、
今回もKAZUMI-BOYの大階段での燕尾の振付は素晴らしい。もちろん、新コンビ
を盛り立てようという花組全員の頑張り、熱気があっての成果であることは言うまでもな
い。

 概ね順調なすべり出しであるが、不安もある。2番手の不在である。一応、芹香斗亜が
羽根飾りを付けていたが、似合わない。「あの人、誰れ?」という感じ。名実共に力不足
である。早急な補強が必要だが、果して何処に人材が―。深刻である。その点、美穂圭子
の歌や芝居のうまさは流石であり、救いであった。

  


(写真は編集部による)

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